東京焼盡

百閒さん、凄いなあ。先に戦後作品の阿呆列車を読んだから順が逆かもしれないが、戦時中の東京空襲の最中でも基本的にぶれない観察力、文章力はなあ。 当時のメモを元に戦後に纏め上げたにせよ、百閒さんらしさ満載の日記作品である。
まだまだ読んでいない作品も多々あるので何とも言えないが、この作品、百閒さんの酒とトイレ、健康状態へのこだわりは強く感じられた。
特に酒。戦後の阿呆列車では毎晩のように嗜んでいる酒、昭和19年末頃の時点では戦時中とはいえ、結構呑んでいるじゃん、と思ったのだが、さすがに昭和20年も4月過ぎて東京もかなり焼きつくされた頃 には酒は入手困難となったようで、百閒さんの「酒が飲みたい」気持ちが辛いくらいに伝わってくる。
戦後、阿呆列車で概ね好きなだけ酒が飲めるようになった時代になって良かったなあ、と素直に感じる。酒飲みだけが感じる共通点なのかもしれないが、まあ、平和な時代で良かったよ。

と、言いつつ今宵も焼酎を煽るのだった。